令和8年熊本地震|生活再建に関する情報③ 被災した住まいを建て替えることになったら
この度の令和8年熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
地震によって住まいに大きな被害を受け、
「修理ではなく、建て替えることになりそう」となったとき。
新しい家のことだけではなく、
「建て替えるまで、どこに住めばいいの?」
「解体費用はどうなる?」
「支援金や保険金は、いつ確認すればいい?」
「今の住宅ローンが残っているけれど大丈夫?」
「市役所、保険会社、銀行、住宅会社。どこから相談すればいい?」
など、さまざまな疑問が出てくると思います。
被災後の住まいの再建では、住宅の計画とあわせて、公的支援、保険、住宅ローン、解体、仮住まいなどを並行して考えていく必要があります。
このページでは、「建て替えることになったら、どんなことを確認し、どのように進めていけばいいのか」を、ひとつずつ整理してご紹介します。
※利用できる制度や手続きは、住宅の被害状況、世帯の状況、自治体などによって異なります。本ページは2026年9月時点の公表情報をもとにした一般的なご案内です。実際の対象可否や手続きについては、各自治体・金融機関・保険会社等へご確認ください。
まず最初に|り災証明書を申請・取得しましょう
被災した住まいの修理や建て替えを考える際、まず確認しておきたいのが「り災証明書」です。
り災証明書は、市町村が住家の被害状況を調査し、
全壊大規模半壊中規模半壊半壊準半壊準半壊に至らない(一部損壊)
などの被害区分を証明するものです。
この被害区分は、被災者生活再建支援金をはじめとした公的支援などを利用する際の基礎となるため、まだ申請していない場合は、まず被災した住宅がある市町村へ申請方法をご確認ください。熊本市でも、申請後に住家の被害認定調査を実施し、その結果に応じてり災証明書を交付する仕組みとなっています。
まだ被害認定調査を受けていない場合は、判定方法にも注意しましょう
ここは、かなり大事な注意点です。
自治体によっては、明らかに被害が軽微な場合に、現地調査を受けず写真等によって「一部損壊」とする自己判定方式が用意されている場合があります。
たとえば熊本市では、マイナポータルで自己判定方式を選択した場合、「準半壊に至らない(一部損壊)」としてり災証明書が発行されることが明記されています。
一方、現地での被害認定調査を希望する場合は、自己判定方式を選択せず調査を受ける必要があります。
そのため、
「とにかく早く証明書が欲しいから一部損壊でいい」
と急いで自己判定方式を選ぶのではなく、壁や基礎、屋根、建物の傾きなど、見た目以上の被害が疑われる場合には、市町村へ相談したうえで被害認定調査を受けることをおすすめします。
被害区分によって利用できる支援制度や支給額等が変わる場合があるためです。
※自己判定方式の有無や手続きは自治体によって異なります。詳しくは被災した住宅がある市町村へご確認ください。
り災証明書の判定に疑問がある場合は?
「外から見ただけでは分からない被害がある」
「実際の被害状況と判定が違うように感じる」
といった場合には、市町村へ確認してみましょう。
たとえば熊本市では、第1次調査の結果に不服がある場合、第2次調査を申請することができます。
第1次調査は外観からの目視調査ですが、第2次調査では外観に加えて住宅内部への立入調査が行われます。
自治体によって再調査等の手続きは異なりますので、交付されたり災証明書の被害区分について疑問がある場合には、そのままにせず市町村の担当窓口へ相談してみてください。
片付け・修理・解体の前に、被害状況を写真に残しましょう
り災証明書をまだ取得していない場合や、被害認定調査を待っている場合には、可能な範囲で被害状況を写真に残しておきましょう。
熊本市も、片付けや修理をする前に住宅の被害状況を撮影・保存するよう案内しています。住宅全体だけでなく、室内の全景や被害箇所が分かる写真を残しておくことが大切です。
熊本県の住宅応急修理制度でも、被害箇所・修理箇所が分かる写真の撮影が求められています。
安全確保のための応急処置は必要ですが、修理や解体などによって被害状況が分からなくなる前に、
・建物全体・外壁や屋根・基礎・室内・亀裂や傾きなど気になる箇所
を、全体が分かる写真と近くからの写真の両方で残しておくと安心です。
り災証明書を取得したら、現在の状況を整理しましょう
「建て替えよう」と考えたとき、すぐに解体や新築工事を始めるのではなく、まず現在の住宅と利用できる制度について整理しておくことが大切です。
確認しておきたいのは、主に次のような項目です。
・り災証明書の被害区分・住宅や土地の現在の状態・地震保険などの契約内容・利用できる公的支援・現在の住宅ローン残高・住宅の解体方法・建て替えまでの仮住まい
これらは必ずしも一つずつ順番に終わらせるものではありません。
市町村への手続き、保険会社への連絡、金融機関への相談、新しい住まいの検討を並行して進めていくことになります。
り災証明書について
被災者生活再建支援金をはじめ、さまざまな公的支援を利用する際の基礎になるものが「り災証明書」です。
り災証明書には、市町村による被害認定調査をもとに、住宅の被害区分が記載されます。
この被害区分によって、利用できる支援制度や支給額などが変わる場合があります。
そのため、り災証明書をまだ取得していない場合は、まず被災した住宅がある市町村へ申請方法をご確認ください。
また、被害認定調査をまだ受けていない場合には、片付けや修理、解体などを進める前に、住宅全体や被害箇所の写真をできるだけ残しておくことも大切です。
自治体によっては、被害が軽微な場合に写真などをもとに判定する「自己判定方式」が設けられていることがあります。
ただし、基礎や外壁、屋根、建物の傾きなど、見た目だけでは判断しにくい被害がある場合もあります。
「本当に軽微な被害と言えるのか分からない」
「建物内部にも被害があるように感じる」
といった場合には、急いで自己判断せず、市町村へ相談したうえで適切な被害認定調査を受けることをおすすめします。
すでにり災証明書が交付されていても、実際の被害状況と判定に違和感がある場合には、再調査等について相談できる自治体もあります。
熊本県の被災者生活再建支援金についても、申請の際には住民票やり災証明書などの必要書類を添えて、被災当時に居住していた市町村へ申請することとされています。
地震保険は、り災証明書とは別に確認します
地震保険に加入している場合は、契約している保険会社または保険代理店にも早めに連絡しましょう。
自治体が発行するり災証明書の被害認定と、地震保険の損害認定は別のものです。
日本損害保険協会では、令和8年熊本地震について、地震保険を契約している建物や家財を保険会社が調査し、損害の程度に応じて保険金を支払うと案内しています。
また、損害保険の保険金請求に際して、自治体から交付されるり災証明書の提出は不要とされています。
そのため、
市町村へのり災証明書の申請
と
保険会社への事故連絡
は、それぞれ確認・手続きを進めていくことになります。
1.建て替えを決める|まず予算を整理する
建て替えを考えるとき、最初に整理しておきたいのが「新しい住まいにどのくらいの予算を組めるのか」です。
被災後の住宅再建では、通常の住宅計画とは異なり、いくつかの資金や支援制度が関係することがあります。
たとえば、
自己資金
+
地震保険などの保険金
+
被災者生活再建支援金などの公的支援
+
住宅ローン・災害復旧融資
などを確認しながら、全体の資金計画を整理していきます。
あわせて、
・現在の住宅ローン残高・住宅の解体費用・仮住まいにかかる費用・新しい住宅に必要な費用
なども確認しておく必要があります。
被災者生活再建支援金などの公的支援
令和8年熊本地震については、熊本県内すべての市町村に被災者生活再建支援法が適用されています。
住宅の被害程度や、その後「建設・購入」「補修」「賃借」のどの方法で住まいを再建するかによって、支援金額が異なります。
被災者生活再建支援金などについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
→「令和8年熊本地震|生活再建に関する情報① 公的支援などについて」
地震保険などの保険金
地震保険に加入している場合は、保険会社による損害調査を受け、損害程度に応じて保険金が支払われます。
実際の支払額は契約内容や保険会社による損害認定などによって異なるため、住宅の再建予算を決める際には、保険会社へ確認しておきましょう。
住宅ローン・災害復旧融資
金融機関や住宅金融支援機構では、被災した住宅の修理、建て替え、購入などに利用できる住宅ローンや災害復旧融資が設けられています。
また、現在住宅ローンを返済している場合には、新しい借入れだけでなく、現在借りている金融機関へ返済方法について相談することも大切です。
住宅金融支援機構でも、令和8年熊本地震で被災された方を対象として、現在返済中の融資や災害復興住宅融資についての相談窓口を設けています。
住宅ローン・災害復旧融資については、こちらの記事でご紹介しています。
→「令和8年熊本地震|生活再建に関する情報② 住宅ローン・災害復旧融資について」
解体費用についても確認しておきましょう
住宅を建て替える場合には、現在の建物を解体する費用についても確認が必要です。
通常どおり自費で解体するほか、住宅の被害状況など一定の条件を満たした場合には、市町村による公費解体や、自費で解体した費用の一部について償還を受けられる制度を利用できる場合があります。
たとえば八代市では、令和8年熊本地震で一定以上の被害を受けた建物について、市が所有者等に代わって解体・撤去を行う「公費解体」と、自ら解体した後に一定の費用を払い戻す「自費解体(費用償還)」を案内しています。
ただし、公費解体等はすべての被災住宅が対象となる制度ではありません。
対象となる被害区分、受付期間、必要書類、手続き方法などは自治体によって異なります。
公費解体等の利用を検討する場合には、解体工事を契約・着手する前に、建物がある市町村へ確認することをおすすめします。
2.新しい住まいのプランを考える|各種手続きを並行して進める
資金の見通しを確認しながら、新しい住まいについて考えていきます。
同じ土地に建て替えるのか。
別の土地へ住み替えるのか。
どのくらいの大きさの家が必要なのか。
これからどのような暮らしをしたいのか。
住宅会社等と相談しながら、間取りや建築費、完成時期などを整理していきます。
一方で、被災後の住宅再建では、住まいの計画とは別にさまざまな手続きも進んでいきます。
市町村で確認すること
・り災証明書・被災者生活再建支援金などの公的支援・公費解体等を利用できるか・応急住宅など仮住まいに関する制度
保険会社で確認すること
・加入している地震保険等の内容・損害調査・保険金請求・支払われる保険金
金融機関で確認すること
・現在の住宅ローンの状況・返済条件等について相談できる制度・新しい住宅ローン・災害復旧融資
住宅会社等と考えること
・建て替える場所・新しい住宅の規模や間取り・建築費・資金計画・解体から完成までのスケジュール
これらは一本道ではありません。
行政の手続きがすべて終わってから住宅会社へ相談する必要もありませんし、新しい家のプランがすべて決まってから金融機関へ相談するわけでもありません。
それぞれの手続きを並行して進めながら、利用できる制度や予算に合わせて住まいの計画を整理していくことになります。
3.解体・建築の間の住まいを考える
「建て替えることは決めた。でも、新しい家が完成するまでどこに住むの?」
ここも、建て替えを考えるときに気になるところではないでしょうか。
住宅を解体してから新しい住宅が完成するまでには一定の期間が必要です。
その間の住まいとして、
・親族宅などで生活する・自分で賃貸住宅を借りる・賃貸型応急住宅を利用する・建設型応急住宅を利用する
などの選択肢が考えられます。
公的な応急住宅については、住宅の被害状況や世帯の状況などによって利用できる場合があります。
賃貸型応急住宅、いわゆる「みなし仮設」
熊本県では、令和8年熊本地震によって住居が全壊等の被害を受け、自らの資力では住居を確保することが難しい被災者を対象に、民間賃貸住宅を借り上げて無償で提供する「賃貸型応急住宅」を実施しています。
対象となるには一定の要件があります。
また、熊本県の制度では入居期間は原則として入居日から2年以内で、恒久的な住まいを確保した場合には速やかに退去する必要があります。
そのため、
「住宅を建て替えることになったら、完成までの家賃を必ずすべて自己負担しなければならない」
とは限りません。
利用できるかどうかについて、被災時にお住まいだった市町村へ確認してみましょう。
※熊本市は救助実施市のため、熊本県とは別に制度を実施しています。
熊本県「令和8年熊本地震に係る賃貸型応急住宅の供与について」
建設型応急住宅
民間賃貸住宅を利用する賃貸型応急住宅とは別に、県内では建設型応急住宅の整備も進められています。
2026年9月時点で、宇城市、氷川町、美里町、八代市などで建設が進められています。
また、農業・畜産業などの生業やその他の事情によって自宅敷地内で生活を続ける必要がある方については、一定の条件を満たす場合、自宅敷地内に建設型応急住宅を設置できる制度も設けられています。
この制度についても、設置・撤去費用は公費負担、入居期間は原則2年以内とされています。
ただし、利用には住宅の被害程度や敷地条件などの要件があります。
「自分の場合は利用できるのだろうか」と思われた場合には、市町村の担当窓口へご相談ください。
4.解体から建築、新しい暮らしへ
資金計画や各種制度、仮住まいについて確認したら、現在の住宅の解体と新しい住宅の建築を進めていきます。
大まかな流れとしては、
現在の住宅の状況を確認
↓
支援制度・保険・資金について確認
↓
新しい住まいの予算・プランを検討
↓
解体方法と仮住まいを決める
↓
現在の住宅を解体
↓
新しい住宅を建築
↓
新しい住宅へ入居
という流れになります。
ただし、公費解体等を利用する場合、通常の自費解体の場合、土地を変えて建て替える場合などによってスケジュールは異なります。
利用する制度によっては、申請や確認が必要なタイミングもあります。
「まず家を壊して、それから考える」のではなく、解体前から新しい住まいまでの全体の流れを確認しておくことが大切です。
「どこから相談すればいいの?」というときは
被災後の住まいについて考えると、
市役所。
保険会社。
銀行。
住宅会社。
それぞれに相談することがあり、「結局どこから始めればいいのだろう」と感じることもあると思います。
すべてを最初から理解している必要はありません。
まずは、
今の家はどのような状態なのか。
これからどのような暮らしをしたいのか。
利用できそうな制度は何があるのか。
どのくらいの予算を考えられるのか。
一つずつ整理していくことから始めてみてください。
BEAR HOUSEでも、公的支援や保険、金融機関等から公表されている情報を確認しながら、これからの住まいについて考えるためのご相談を承っています。
まだ、
「修理するか、建て替えるか決めていない」
「何にいくら使えるのか分からない」
「まず何から確認したらいいか分からない」
という段階でも構いません。
公的な制度の対象可否や保険金、融資の審査等をBEAR HOUSEが判断することはできませんが、現在の状況やこれから必要になることを一緒に整理し、ご家族にとっての答えを考えるお手伝いをさせていただければと思っています。
よくある疑問
建て替えると決めたら、すぐに今の家を解体してもいい?
公費解体等の制度を利用できる可能性がある場合は、契約や解体工事を進める前に建物所在地の市町村へ確認することをおすすめします。
自治体によっては、解体前の申請や被災状況の確認、写真等が必要になる場合があります。八代市でも「解体・契約の前に、まずは市へご相談ください」と案内されています。
り災証明書がないと地震保険を請求できない?
損害保険の保険金請求については、自治体のり災証明書の提出は不要と日本損害保険協会が案内しています。
契約している保険会社・保険代理店へ直接お問い合わせください。
建て替える間の家賃は全部自分で払う?
必ずしもそうとは限りません。
一定の要件を満たした場合には、賃貸型応急住宅などを利用できる可能性があります。対象可否については被災時にお住まいだった市町村へご確認ください。
公費解体は、被災した家なら誰でも使える?
すべての被災住宅が対象になるわけではありません。
被害区分や建物の状況など一定の条件があり、自治体によって手続きも異なります。
公費解体等は「利用できる場合がある選択肢のひとつ」として、まず自治体へ確認してください。
今の住宅ローンが残っていても建て替えできる?
現在のローン残高、住宅・土地の担保状況、新たな借入額などによって異なります。
まず現在借り入れている金融機関へ相談し、そのうえで新しい住宅の資金計画を整理することをおすすめします。
被災された方向けの住宅ローンや災害復旧融資については、「生活再建に関する情報②」でご紹介しています。
→「令和8年熊本地震|生活再建に関する情報② 住宅ローン・災害復旧融資について」
本ページの情報について
本ページは2026年9月11日時点で、熊本県、各市町村、住宅金融支援機構、日本損害保険協会等が公表している情報をもとに作成しています。
各制度の対象要件、受付期間、申請方法、必要書類等は自治体や関係機関によって異なり、今後変更される場合があります。
最新情報および個別の対象可否については、それぞれの市町村、金融機関、保険会社等の公式情報をご確認ください。